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アニメや映画などを観て感じたこと、想ったこと。ネタバレする場合有。

2023年まとめ

はいどうも、年々このエントリーの着手が遅くなっているくせるです。

今年は昨年から始めた趣味の継続が主になった印象で、更に継続に因んで過去作の続編が多く印象に残る年でもあったと思う。

連続もの、映画は後述するとして。

4月にUSJなど関西に旅行に行った事は先ず大きい行動だったし、7月には今生初の熱中症に罹り、9月からはポケモンカードのイベントに参加したりと、ここ数年の中ではかなり外出の機会が増えた方だった。別にコロナウィルスは収束した訳じゃないだろうし、異常が日常になっただけだと個人的には考えている。

政治については、ここ10年沈黙し続けていた検察が漸く仕事をし始めたところで、人々を苦しめ、日本を破壊し尽くしてきた者たちがちゃんと牢獄にいけるのか。気になるところである。

 

では(?)、やっていきます。

 

 

 

 

 

連続モノ(TVアニメ・特撮)選

・『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

・『VINLAND SAGA』season2

・『君は放課後インソムニア

・『天国大魔境』

・『ウマ娘 Pretty Derby ROAD TO THE TOP』

・『無職転生Ⅱ〜異世界行ったら本気だす〜』

・『呪術廻戦』第2期

・『王様戦隊キングオージャー』

・『葬送のフリーレン』

 

最初に挙げた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は実のところ12月の半ば過ぎまでは選外にしていた。クィアベイティングを行った作品を評価する程私は寛容では無いからだ。しかし、小林寛監督がBlu-rayのインタビューにてクィアベイティングを覆す意図を明かしたことで、少なくとも制作陣に非は無いと入選へと至った。ガンダムらしい子どもと大人の対比を描きつつ、更に現代的な価値観をも取り入れた最新のガンダムとして十分な出来だったと思う。スレミオ、おめでとう。

奴隷といえども背景に牧歌的な農場を据えて始まった『VINLAND SAGA』2期は、しかしどうしようもなくトルフィンに過去を突きつけ、トールズの背中を見せてくる。まさか数奇な縁が手繰られた末にここまで話が広がろうとは圧巻だった。トルフィンとクヌートの非常に形容し難い関係も面白い。

去年(の『よふかしのうた』)に続いて入選した"深夜"アニメのひとつ『君は放課後インソムニア』。映像的に特別印象に残っている訳では無いけれど、opedから作品の雰囲気作りが徹底されているのがかなり好印象だった。「眠れない」という現代を思わせる症状を通して丸太と伊咲ちゃんの間や周りに出来ていく関係を描き、見守る。私の苦手な過保護親キャラもまあ様式美ということで。

天国大魔境』は原作が未完結で、アニメも1クールだけの放送なので謎はまだそこかしこに散りばめられたままではある。しかし、攻殻新劇以来の野村和也監督とI.Gの作品は、荒廃した世界でサバイバルしたり謎の施設で養育される子どもたちが無性別的で様々な愛情を見出すロマンスがあり、怪物や暴漢やどと戦うアクションもあり。無性別的とは言ったが、肉欲の表現もしっかりなされていて好みの作品だった。最後が最悪だったが、仕方ないので溜飲は取っておくぜ。

TVアニメのシリーズに挟まるかたちで配信された『ウマ娘 Pretty Derby ROAD TO THE TOP』は、これこそ「Eclipse first, the rest nowhere」の如き熱量で駆け抜けた圧倒的な4話だった。メインはナリタトップロードではあったが、アドマイヤベガテイエムオペラオーもそれぞれが主人公だった。演出、作画、演技、脚本、脚色など、その全てが超絶の作品だった。

無職転生Ⅱ〜異世界行ったら本気だす〜』は立ち上がれなくなった男の話。この1クールをたっぷり使って、スタッフも視聴者も皆んなが、ルーデウスと共に悩み、苦しみ、向き合う。自信を失い、心を病み、折れてしまった彼は果たして再び立ち上がることが出来るのか。女に去られ、ヤケになり、他人を傷つけ、更に自暴自棄になった。全てが初めてだった。もはやどんな神にでも縋るしかなかった。再び男として立ち上がる方法を。

どう足掻いても選ばない訳にはいかなかった『呪術廻戦』2期。特に『懐玉・玉折』は2023年において最もリピートした作品になってしまった。面白い原作、暗く容赦のない筋書き、圧倒的なアクション作画とどれをとっても隙のない作品となってしまった特級呪物。もともと五条悟の夢女だったが、夏油傑に共感を覚えてしまい、どうしようもなくなってしまった。

王様戦隊キングオージャー』を選びたいが為に今回から「連続モノ」としてジャンルを広げた。それほどこの作品は面白い。全ての話数が山場。「ダレ場なんて知ったこっちゃねえんだよ、スカポンタヌキ」とばかりに、40話を超えて尚留まるところを知らない面白さの洪水は、きっとこのまま走り切ってしまうのだろう。そして今この日本で王様の話をやることの意味も、しかと考えていかねばなるまい。

何らかの掛け違いが起きていたら『葬送のフリーレン』を最初から見ていなかったかも知れない。そう考えると、見る判断をした自分を褒めたい。勇者が魔王を倒した後のファンタジー世界でエルフの長寿を体験するという変則的な異世界転生モノとも考えられる本作。特筆すべき点は作画だろうか。アクションや演出的なライティングは勿論なのだが、なにより日常の所作に目を見張るものがある。戦闘も素晴らしいが、その日常に重きを置いている様に捉えられるが故に独特のゆったりとした空気感が気持ちの良い作品である。

 

 

映画選

・『アイカツ!10th STORY 未来へのSTARWAY』

・『グリッドマン・ユニバース』

・『The Guardians of the Galaxy Vol.3』

・『Fate strange Fake -Whispers of Dawn-』

・『君たちはどう生きるか

・『映画プリキュアオールスターズF』

・『アリスとテレスのまぼろし工場』

・『The Createor』

・『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

・『窓ぎわのトットちゃん』

 

先ずは『アイカツ!10th STORY 未来へのSTARWAY』に、ありがとう。

 

グリッドマン・ユニバース』はトリガーのロボットモノらしい観たいもの全部盛りの楽しいエンタメ作品。グリッドマンとダイナゼノンのTVシリーズを見るというキャズムは有るが、だとしても勧められる理由が十分にあると考えている。合体ロボットと怪獣の熱いバトル、TVシリーズから培われた関係性や設定、思春期のウカレポンチ甘酸っぱい恋模様。更にヒーローものとして弱さの肯定、想像や創作の称賛も見られ、安心して見ていられる優しい世界でもある。公開当時の感想はYouTubeにて。


www.youtube.com

僕らのジェームス・ガンとガーディアンズが再び帰ってきた『The Guardians of the Galaxy Vol.3』。MCUの勢いが衰えつつある気がする昨今だが、GotGはここに至りロケットに焦点をあてた上で全てにおいて納得しかないストーリー構成。ジェームス・ガンは映画撮るの上手いし、特にプレッシャーという意味であまり期待はしないようにしていたけど、署名がこんなに良い作品になって返ってきたのは凄く嬉しい。

連続モノと映画のどちらに入れるか迷った末に、今回はこれ単発だったということで映画に入れた『Fate strange Fake -Whispers of Dawn-』。A-1 Picturesの作画とアメリカという舞台に澤野弘之の音楽がぶっ刺さって、高揚感と爽快感で非常に気持ちのいい作品となっている。聖杯戦争に参加するCV諸星すみれというだけでも期待が膨らむものだ。あの戦闘を冬木でやるのは無理だろうなあ。

君たちはどう生きるか』は私に宮崎駿の凄さを再認識させた作品となった。たしか公式が事前情報をかなり絞っていたので、私も余りに語るのは控えようと思うが。主軸の物語、過去のジブリ作品との共通点、散りばめられたメタファー、そしてこれらを纏め上げる手腕。脱帽だった。

映画プリキュアオールスターズF』もまた最高のプリキュア映画のひとつであり、ここに入選して然るべき一本である。オールスターズNSシリーズが終結してから約10年、良い映画もあったが、私が欲し待っていたプリキュアオールスターズはまさにこれだった。強靭で無敵で最強の布陣が揃ったプリキュアオールスターズのエンドゲームを是非ご堪能あれ。

岡田麿里らしい作品だと思うのが『アリスとテレスのまぼろし工場』。前作の『さよならの朝に約束の花をかざろう』も良い作品だと思うが、良い意味で岡田麿里らしい嫌悪感というか気持ち悪さを内包しつつ、より強烈で濃い物語となったのが今作だと考える。生々しくも瑞々しい感情の物語。

怪獣映画で有名なギャレス・エドワーズだが、『The Creator』の様な人間ドラマにこそ彼の世界観は鮮烈に現れるのかも知れない。多くの人が『The Matrix』や『Avator』の時に受けた映像的な衝撃を今更になって私はこの作品から受けたかも知れない。物語としての驚きは少ないかも知れないが、ギャレス・エドワーズが培ってきた画面と脚本の構成力は確かに実となっていると感じる。

正直このタイミングでこれが入選するとは思ってなかった『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』。原作の掲載開始はもう半世紀近く前である上に、映画内の主軸となる時代も1956年であるにも関わらず現代に即した問題を提起し、今この日本に刺さる言葉や価値観を返してきた事に驚愕した。私はもう長らく鬼太郎には触れてこなかったが、この作品単体でも十分楽しめた事も入選した理由のひとつである。TLに見せかけたBLかなと。

話題になっていたので急遽見に行った『窓ぎわのトットちゃん』は、その評判に違わぬ良作だった。これもまた古い価値観や軍国主義が跋扈する時代を描く作品であるが、子どもの素直な感情や想像力によってそれらを打破し反戦へと繋げていく物語。少し前に公開した似たようなテーマや時代背景にも振ることが出来た某作品と比べ、圧倒的にこちらが私の好みであったのが実際のところである。

 

選外と総評

・『推しの子』、『スキップとローファー』、『ポケモンSV 放課後のブレス』

・『Air』、『Napoleon』、『Bones and All』

ポケカに時間を割いていた事もあり、比較的観たタイトル数が新旧作共に少なめではあった。

『推しの子』や『スキップとローファー』は話題になり、個人的にも面白いと言えるところがあったが、刺さらないところの比重が勝ってしまった作品たちだった。『放課後のブレス』は、TVアニメでサトシが引退したことで新シリーズを見始めはしたが、結局話数が少ないOVA的なポケモンアニメの方が性に合っていると感じた次第だった。アニメ全体においては相変わらず異世界転生や「やり直す」話が多い中で、そのバリエーションは多様化している為、ジャンルの垣根がどんどん低くなってきている印象。

映画選においては日本アニメが今回は多かった。全体の印象として日本は陰鬱で窮屈なこの世界からの脱却を求めたり。また、反戦意識や戦後意識の高まりを促したり、権威主義軍国主義に抗う意志を示すような印象が強いと感じた。文化や人の尊厳を軽んじる権力者に対し芸術で抗するのは非常に私の好むところなので、それで作品が作られる事は良いことだが。それはそれとして、宗教と強く結びつき私腹を肥やすことしか考えていない政治家は一刻も早く牢獄へどうぞ。後は、選外の洋画3作品もそれぞれ秀逸で、それぞれ時代に即したジェンダー観の発露が見て取れた。更に『Air』に関してはNBA好き、スニーカー好きとして楽しい作品だった。

 

 

その他の活動など

旧作視聴としては、年々見るのが楽しくなってきたホラー作品という事で『Halloween』シリーズをいくつか見たりして楽しかった。ホラー以外にも『Brokeback Mountain』や『Pulp Fiction』、『Usual Suspects』といった名作鑑賞も少ないながらしていた。

前述した通り、関西やポケモンカードなど、例年に比べ外出の機会は比較的増えたと思う。

上半期としては先ず新潟国際アニメーション映画祭に言ったことか。当時は作品を見るというよりTwitter(抵抗の意志)でフォローしている方を一目見たいというのが大きかった。押井守さん、氷川竜介さん、数土直志さんを見れたのは嬉しかった。これからも続いていくイベントみたいなので、出来たら次は前田Qさんや藤津亮太さんも拝見し、話を拝聴したい所存。

特にポケモンカードに関しては上半期においては、転売の横行を理由として、呆れて距離を置いていたが。WCSや「月明かりの丘」収録などを機にイベント参加を決意。2022年にある程度組んでいたルギアVSTARデッキに環境にあった汎用&メタカードを加えて戦った。某カードゲームの様にソリティアで圧倒的な制圧盤面を敷く楽しさも分かるが、お互いにある程度の動きを許容した上で勝つ楽しさがポケモンカードの特徴だと私は思う。特に2023年12月の環境は、ルギアが圧倒的なシェア率を誇っていた1年前とは違い、様々なデッキが入り乱れる群雄割拠の状態で、個人的にはかなり面白くて好きな環境だった。

カードゲームは盛んだった一方で、コンシューマーはあまり手を出さなかった。春頃まではモンハンR:SBが更新を続けていたのでプレイしていたくらいで、後はソシャゲばかり。ソシャゲもFGOウマ娘は続けているものの、特筆するほど力を入れた記憶は無い。どちらかというと、手を出してはいないものの、ベイブレードへの興味の方が強かった。

11月には初めての即売会にも一般参加したりもしたが…。まあ、うん。

 

最後に

あいも変わらず自民党に苛立ちを覚え、日本の現状を憂い、人間が苦手な私ではありますが。ポケカではコミュニケーションが不可欠なので、枯れきっていたコミュ力になんとか水を足している状況では有る。っていうか、去年も似たようなこと書いていた。多分毎年書くんだろうな。

冒頭で着手が遅くなっているとは言ったが、このまとめ記事がライフワークの一部な気がしているので、続いてはいくと思う。多分。きっと。おそらく。もしかしたら。

 

初めての即売会で辛くなってしまった話

【※注意】

・楽しい話ではないと思います。ご了承の上でお読みください。

・他人や特定のグループや作品を貶めたり、誹謗中傷する意志・意図はありません。

・即売会が楽しくて、好きな方にはブラウザバックを推奨します。

 

 

 

 

 

【本文】

最初に行く決意を固めたのはいつだったか…。

Twitterでまわってきた投稿にて、好きなジャンルのプチオンリーが開催されると知った時だったかと思う。

普段は地方に住んでいて、同人誌などは委託や通販を使って無理のない範囲で購入してきた。しかし、即売会に行けば通販などでは手に入らない品も作者から直接購入できる。建前として「買うか分からない」と言ってはいても、実際行ったらその空気も手伝って購入するであろうことは分かっていた。

一般参加なので、落とす新刊や締切も無い。その分、身支度には時間をかけることが出来た。

 

そして当日。

少し余裕をもって会場に行き、狙っていた頒布物は早々に購入して、後は会場をぐるぐると歩きまわっていた。

これは先に言っておきたいことだが。やはりこういうイベントというのは人々の好きが溢れており、運営と参加者が作り出す会場はとても明るく楽しい雰囲気でいっぱいだった。

トラブルも、私が観測した範囲では特に無く。強いて挙げれば、午後になって雨が降り始めてしまったことが残念だったくらいか。

私も可能な限り楽しもうと努めていたし、その時は実際楽しかった。

 

変調があったのは帰宅してからだった。

肉体的な疲れはまあ当然あるのだが、精神的にどうにも辛い。

おそらく会場の雰囲気に当てられた事で、自分の中での価値基準までもが影響を受けてしまったんじゃないかと思う。

どうして私は独りなのか、と。

あれだけの同好の士がいて、皆んなが楽しそうにコミュニケーションしているのに、どうして私は禄に会話もせず、また共に参加する友人知人を作ってこなかったのか。

今迄私は何をしてきたのか。何もしてこなかった。

即売会で見る「好きを思いっきり表現している人たち」が私には眩しすぎた。

無能。ひたすら無能感に襲われた。辛くて仕方なかった。

元々あまり育っていなくて、どうにか地上に出ていた自己肯定感の芽が地中でへし折れてしまったかのようだった。

 

まあここ10年程は人間関係を意識して減らしてきたし、徒に増やしたくないと思って行動してきたから、今回の件は完全に自業自得なんだけどね。

それでも辛くなってしまったものは仕方ない。

 

私は自己肯定感は高くないが、自分に課すハードルばかり高い傾向がある。

何が言いたいかと言うと。私がもっと頑張っていたら今頃はサークル参加していたりコスプレで参加していたりが出来たんじゃないか、というハードルを自ら設けてしまっていて、それを出来なかった自分を責めているんじゃないかと。

否定は出来ない。

しかし、これを考えたところで仕方ないとも思う。

これからの事はこれから決めればいいし。

 

とりあえず、あれから幾ばくか。

気持ち的にはゆっくり回復してきている感じではある。

しかし、今暫くは即売会へ一般参加する腰は重過ぎて上がりそうにない。

 

アニメや映画や特定のジャンルが嫌いになったとかいう話ではない。

いっそ「嫌いになった話」の方が私としても分かりやすかったんだろうな。

 

最後にもう一度言いますが。

他人や作品等を批判したい気持ちはありません。

即売会への参加だけでなく、創作活動をしている方々は素晴らしい事をしていると思うので、そのまま続けてほしいです。

 

という事で別に結論とかも無いです。

これで終わりです。

2022年まとめ

「まだまだ面白いコンテンツが沢山ある」。2022年という期間の私を総括するならこんな感じの言葉になるかな。

遊戯王ポケモンカードVTuberコンシューマーゲームなど半端なままだったものにガッツリ取り組んだり、触れたことがないものに手を伸ばしたり。エヴァが完結しても、ダイパリメイクが発売しても、アーマード・コアの新作が発表されても、まだまだ面白いことは続いていく。でも同時にその続いてきた創作を途絶えさせないように消費者である自分にも出来ることはあるので、それも意識していきたいと思っています。インボイス反対するとかね。

それはそれとして。今の状況に馴染んできたのか、アニメも映画も相変わらずいい作品は出ているので無理のない範囲でアンテナ張っていきたいな。

ただアンテナを張っていても配信サイトの違いで見れない作品(『サイバーパンク エッジランナーズ』や『アキバ冥途戦争』など)もあるのは頭が痛いところ。

 

※以下、作品の核心に迫る表現があります。ネタバレによる影響について当方は一切責任を負いませんのでよろしくお願いします。

 

 

 

アニメ選

・『鬼滅の刃 遊郭編』

・『その着せ替え人形は恋をする』

・『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期』

・『平家物語

・『BIRDIE WING -Golf Girls' Story』

・『メイドインアビス 烈日の黄金郷』

・『よふかしのうた』

・『リコリス・リコイル』

・『ぼっち・ざ・ろっく!』

・『僕のヒーローアカデミア 6期』

 

1期や映画と同様ここに挙げる積もりは無かった『鬼滅の刃 遊郭編』。だが、映像化されたことの恩恵が想像以上に大きかった。特に終盤、妓夫太郎と堕姫の物語や兄妹の対比がより鮮明になりそれまで以上に鬼側の掘り下げと愛着が深まったと思える。TVアニメという枠には収まりきらない程の凄まじい戦闘シーンも良かった。

最後に滑り込んだ『その着せ替え人形は恋をする』。海夢を愛でるだけかと思っていたけど、好きなことは好きでいいを肯定してくれるし、演出も物語に沿っていたのが良かった。8話と12話を見直したらそれまでの印象程のマイナスも無かったし。でもやっぱり、海夢が魅力的で性的なのは間違いないし、良い。

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 2期』は他のラブライブ!のアニメシリーズとは一線を画す作品である。だがここまでは何もかもが良い方向に転がっているとしか思えない。アイドリたちは勿論だが、高咲侑というキャラクターが奏でる味は絶妙としか言えない。物語、台詞、演出とあらゆる要素が素晴らしい調和を見せている作品。褒めるとこしか無い。

実に9年ぶりの山田尚子監督作のTVアニメとなった『平家物語』。制作をサイエンスSARUとして最初の作品となる。興味の薄い日本史であっても山田尚子なら私としては見る以外に選択肢が無い。盛者必衰の物語をびわという独特のキャラクターを通して叙情的に描く。いつの世も、それが人であるならば続くのは国でも家でも無く人の想いと祈り。

1期が楽しかったのと、2期への期待も込めて選出した『BIRDIE WING -Golf Girls' Story-』。私は好きなスポーツなんだが、ゴルフをテーマにしたマンガやアニメってあんまり数多くは無い。その分の加点もあるし、バンナムが企画・原案やってるだけあってダイレクトマーケティングが凄かったり、ゴルフ以外の描写にぶっ飛んだものが多くて楽しめた。ゴルフ描写に関しては概ね問題ないけど、もう少しランは長いと思うくらいかな。

メイドインアビス 烈日の黄金郷』は「最もワクワクするOPオブジイヤー」です。前提として、1期から素晴らしかったんですがタイミングの問題で挙げられなかったという贔屓が無くも無いです。しかしそれを抜いても、可能な限り妥協の無い描写と、地獄の中に黄金を見出そうとする者たち、探窟家たちの積み重ね。ここまで壮大で重々しい人間ドラマもそう無いと思う。

『よふかしのうた』は肩の力を抜いて見れる上に、板村智幸監督で描く怪異と日常かつ非日常という少しノスタルジーを感じる作品だった。昼だろうと夜だろうと一長一短であるが、夜更しをした時の街の独特な雰囲気が好きだということを再認識させてくれた。緩さというブレーキが良い感じに利いていて良かった。

放送開始から話題を攫った印象の『リコリス・リコイル』。キャラが魅力的だったり、アクションシーンが楽しかったり、他作品との類似性を見出したり、面白さは人それぞれ沢山あったと思う。私としてはやはり同性愛の描き方だろうか。特にミカとヨシさんの描写は素晴らしかった。私は千束が好きです。カッコイイとかカワイイとか色々表現はあると思いますが、巻変えた結果今の私は「好き」がしっくりきている。

『ぼっち・ざ・ろっく』は贅沢なアニメーションだと思う。CloverWorksといえばWEPやFGOSPY×FAMILYで知っている人もいるだろうが、印象としては艶がありよく動く作画。そこを当作品では記号的なキャラデザにした上で背景や表現の多様さを駆使している。これほどリミテッドアニメーションらしい強さをもった作品もなかなか無いのではなかろうか。次のカットが楽しみで、映像的に飽きさせない良作だと思う。

まだ2クール目が残っている『僕のヒーローアカデミア 6期』が入選したことに私自身が驚いている。しかし、トゥワイスとホークスの関係、トガちゃんの想い、イレイザーとマイクの過去、荼毘の正体とこれだけ見どころが有ったのだから仕方ないとも思える。特に「爆豪勝己ライジング」は今作の個人的ベストバウトかも知れない。どんな理由だろうと虐めを肯定はしないが、かっちゃんがデクのどこに不気味さを覚えていたのか分かって腑には落ちた。総力戦の締めをベストジーニストが務めるのは美しかったし、ルミリオン復活は凄く熱かった。

 

 

映画選

・『Spiderman: No Way Home』

・『犬王』

・『劇場版アイカツプラネット!/アイカツ!10th STORY〜未来へのSTARWAY〜』

・『Thor: Love and Thunder』

・『Nope』

・『Petite Maman

・『Black Panther: Wakanda Forever』

・『THE FIRST SLAM DUNK

・『The Menu』

 

客入りはよく知らないけど、制作や上映はCOVID-19以前のペースが戻ってきている感があった。そう感じる原因としてMCUの公開の盛んさが一端を担っていると考える。

『Spiderman: No Way Home』は1発目から本気でぶん殴りにきていて素晴らしかった。豪華キャストが想像以上の尺で出演し、そんな周りに決して喰われずMCU史上最も孤独なヒーローとなった親愛なる隣人。彼自身の選択と覚悟に言葉を飲んだ。

前述の『平家物語』に続いてのサイエンスSARU作品であり湯浅政明監督作『犬王』。1300年代〜1400年頃の能楽を極上のエンターテインメント体験に昇華させ、同時に犬王と友有の関係が物語としての深みを含ませる。これで上映時間97分に纏めているのも素晴らしい。ファンで満席になった映画館で応援上映やりたいタイプの作品。

実質「アイプラ版大スター宮いちごまつり」だった『劇場版アイカツプラネット!』。劇場版ならではのオールスター感があり。実写パートでもならではで精一杯の表現を駆使していて楽しめた。そして、始まりの終わりであり終わりの始まりである『アイカツ!10th STORY〜未来へのSTARWAY〜』。全てが眩しく、全てが愛おしい。今思うと、無量空処を喰らった漏瑚みたいになっていた気がする。

『Thor: Love and Thunder』が発表された時は「既に単独で3作品やってるMCUの初代アヴェンジャーズメンバーなのに、また見れんの?」と驚いたものだった。タイトルの率直さと相まって期待と不安の中で見に行ったが、コミカルさとシリアスさが同居した良作でした。タイカ・ワイティティはやはり面白い映画を撮る。

(まだ収束したとは言えないが)COVID-19を経たジョーダン・ピールは更に円熟味を増して『Nope』を放ってきた。そこかしこに据えられたメタファーの数々。この時代だからこそ何層にも増して観る人を貫く人種差別や大衆娯楽に潜む闇。何よりも、謎の存在との戦いという一聞では単なるディザスター作品かとも思える様な設定をテーマ性を深めながら映像で魅せる、正しく映画を作り上げるピールの手腕には脱帽せざるを得ない。

『Petite Maman』の第一印象は高い完成度だった。人が喪失に暮れた時にそっと側にいて話を聞いてくれる、そんな映画だった。不思議ではあるが、多くは語らず、でも暖かく包み込んでくれる。セリーヌ・シアマは人間の言葉にならない感情表現が上手く、それは非常に映画的であると思う。上映時間73分と人生にも優しい。

正直半信半疑で臨んだ『Black Panther: WF』。私はここまできてもまだMCUを過小評価していたようだ。世界において喪失を描く作品が多い中で、キャズムのある作品であるにも関わらず、私はこの作品を特筆しなければならない。特に最後のシュリのショットは「パーフェクト」という他無く、ワカンダは永遠であれと願わずにはいられない。ありがとう。

疑っていた作品その2『THE FIRST SLAM DUNK』。疑念は私の人生におけるバスケアニメ鑑賞体験からくるものであったのだが。この作品は完成度で言えばそう高いとは思わなかったけれど、今出来るベストが尽くされていると思えた。宮城の物語と山王線を上手く絡めて、セリフや感情を挙動とファンの記憶で補填することにより、リアルなバスケットボールの試合に近づけたのは見事。次があるなら私の推し(仙道)の出番を増やして欲しいな。

『The Menu』は映画館で見るかギリギリまで迷ったが、結果観て良かった。終始漂う底暗い空気、随所に垣間見える異常さ、上げて落とされる絶望感。様々な謎を残しつつ、しかし最後に頬張るチーズバーガーの味は極上。お高くとまった薀蓄や料理人に中指を立てていく。やはりチーズバーガーは最強。

 

選外

・『ドラゴンクエスト ダイの大冒険

去年からずっと入れようか迷っていたが、選外に。ポップの物語が秀逸ではあった。でも、原作のえっちなシーンを全て覆ってしまったのが個人的に大き過ぎた。色々仕方ないのかも知れないし、可能な限りのエロさを出そうとしていたんだろうけどね。

・『C'mon C'mon』、『Nightmare Alley』、『Belfast』

映画選の最後の枠として考えていた3作品。どれも決して悪くはないんだけど、いま一歩決め手に欠けたので、いっそのこと全部選外にしました。

 

 

その他

先ず今年は例年よりマンガを多く読んだと思う。主にアプリでの無料配信を利用し興味があったり、中途半端に読んでいた作品を一気読みした。

ちゃんと読むまでどんな作風なのかもよく分かっていなかった『ゴールデンカムイ』だが、最終話まで読んだ今となっては、その謎は更に深まったかも知れない。アイヌ、コメディ、シリアス、グルメ、戦闘、ロードムービーなどなど、これでもかと盛り込んだジャンルの闇鍋のようなエンターテインメント作品だった。分類は難しいがとにかく楽しい作品だった。

去年の『ルックバック』に続いて読んだ藤本タツキ作品『さよなら絵梨』。私はここでようやく藤本タツキの映画好きを認知することになる。日常にほんの少しのフィクションを体現しつつ、映像作品の裏側にある制作者の感情の捌け口を訴える。映画を表現するマンガの道を突き進む作者、騒がれる理由をヒシヒシと感じている。

あとは『宝石の国』、『僕のヒーローアカデミア』、『シンデレラグレイ』、『ファイアパンチ』、『SPY×FAMILY』を途中まで読んだりしてました。完結した作品で言うと『ドラゴンボール』や『るろうに剣心』あたりかな。

 

同じ続きモノではあるがアニメではない実写ドラマ。今年は楽しみにしていた『Game of Thrones』の過去編『House of the Dragon』が配信開始され、まだ視聴途中ではあるが未来からの積み重ねとより強固になった映像に舌鼓をしていた。

また同じHBO作品であり、ずっと見たかった『Chernobyl』は全5話と短くも濃い放射能と実話で私の期待を上回った。この作品より生み出された私の熱は原子炉の仕組みを調べてその危険性を改めて認識させるに至った。

 

映画やアニメの視聴数がいつもより控え目だった分がどこにいったかと言うと多分ゲームだろう。1/27にサービスが開始された『遊戯王マスターデュエル』をきっかけにカードゲームに久しぶりに手を出し、TCGを学び直す過程でVTuberを見るように。更には初夏頃から『ポケモンカード』にも触れ始めて、それまで続けていたトレーニングやファッションへのモチベや興味がごっそり喰われてます。

またTCGの他にも初頭には『ENDER LILIES: Quietus of the Knights』をやり。その後も『モンスタハンターライズ:サンブレイク』や『テイルズオブデスティニー』もプレイした。特にMHRise:SBは今迄のシリーズでは成し得なかった勲章をコンプしたりと、ライズからやっていた人たちに追いつくためにかなり集中してやっていた。

 

Twitterではほとんど言ってなかったけど美術館で『富野由悠季の世界』と『庵野秀明展』を見たことで対比が出来たので少し記しておく。どちらも面白くはあったんだけど、私の求めるもの見たいものに近かったのは富野由悠季の展示だった。富野由悠季の方は、作品の原画や資料などを考察し何をどう表現しているかに注力している印象だった。庵野秀明の方は作品や経歴を通して庵野秀明がどういう人物かを浮かび上がらせるものだった。どちらもテーマとしては一貫した展示になっているし良かったが、好みは富野由悠季の方だった。

 

最後に

1年前のまとめ記事を軽く見直していて「今後は震災後を描く作品が増えるかも」と書いてあったのだが、某戸締まりが公開された事によりそれが実感になってきています。しかし、自然災害は着実に過去になってきているとしても、人災の方はどうしても現在進行系だなと考える私です。

2022年はアニメや映画よりゲームに、とりわけカードゲームに多く触れましたが、それは頭を使うこと(考えること)を増やしたいと思っていたところに、昔は中途半端に終わっていたコンテンツにリベンジ出来るという後押しがあったからだと考えています。その影響で増えた交流もあります。

正直まだまだ人類との交流は戦々恐々としているところはあります。来年もダラダラと死に向かっていければなと思います。それではまた。

 

映画『シン・ウルトラマン』初見感想

いきなり他作品のことからになってしまいますが、1月に『Spiderman: No Way Home』の感想をここにアップしようかずっと迷っていましたが、何故か『シン・ウルトラマン』になってしまいました。

Twitterよりブログの方がアクセスが能動的になるのでネタバレを気にせずに感想を上げるならこっちだよなと常々思ってはいますが、なかなか重い腰が上がらない私です。

 

というわけでネタバレ有りで書いていきます。

 

私の前情報としてウルトラマンシリーズは幼少期に好きだったコンテンツのひとつで、特にレオを見ていた記憶が残っています。狼男回がめちゃくちゃ怖かった。

過去の栄光?になりますが、下半身の模様だけでウルトラマンを判別出来た頃もありました。

近年はジードに嵌って、TVシリーズとベリアル関連作を含む映画数作品を観たくらいです。

未だにジードライザーを買おうか偶に考えます。

(キングソードがなあ、子ども用に作られてて指を入れる部分が小さいんだよなあ…ブツブツ)

 

 

まあ先ず何を置いても、浅見弘子役の長澤まさみ。禍特対のメンバーは設定上特殊なキャラクター揃いな訳ですが、それに加えて本編途中から加わり、神永新二(斎藤工)/ウルトラマンのバディとして動き回り、巨大化したり体臭を確認されたり。観客の目線を引き受ける役からフェティッシュまで非常に幅の広い役割を見せてくれたと思います。

もうひとり、山本耕史。地球人より知性も文明力も高く、それでいて原生生命体の文化を学び懐柔しようとするメフィラス星人を圧倒的な存在感で演じてくれた。地球の文化を学ぶという意味ではウルトラマンの先輩にあたるし、斎藤工よりキャラクターが強く出ていたとしてもそれは演出上間違っていないのかなと思う。

キャストといえば、政府関係者に『シン・ゴジラ』との共通点が見受けられました。この辺はシン・ジャパン・ヒーロー・ユニバースを意識してのことなのかな。

 

今回の物語は、ウルトラマンがどういった経緯で地球人を守る様になったか。首謀者はメフィラスで、思い返すとゾーフィのゼットン起動もメフィラスの企みの延長線上にあった感じなので、その辺はTVシリーズウルトラマン』から上手く抜き出して繋げたなと。

最後をゼットンにしているとはいえ、個人的に「シン・ウルトラマンの第1章です」と言われた感覚があって。勿論これ単作での起承転結はあるんだが、数部作に渡る作品の「起」だと言われても違和感は無い。ラストカットが目覚めた神永の一人称視点だというのも理由のひとつだし、劇中でメフィラスが地球人の有用性を証明したことで「これから外星人に狙われるからな」って言われているので。

 

当作では禍威獣と外星人がはっきり分けられていて、序盤に出てくるゴメス、マンモスフラワー、ペギラ、ラルゲユウス、カイゲル、パゴス、ネロンガ、パゴラは禍威獣でメフィラス曰く「地球に放置された生物兵器」。そして中盤以降に出張るザラブ、メフィラスが外星人で人類以上の知性が覗える。いや、私が昔の作品を正しく認識していない可能性も有りますが。

さらに禍威獣への対応も性質を分析した上で有効かつ後処理に困らない方法が模索されており、これらの科学的考証や細かい設定が成されているあたりは庵野秀明が関わっているなあと思える部分だった。

モーションアクションアクターとして庵野秀明がクレジットされている事も一因してなのか、現代の進化した3DCG技術を使いながらもクラシックな人形を使った特撮的な演出も目立っていた。特に飛行中のウルトラマンが敵に蹴りを放つシーンにおいて、体勢を変えることなく身体が伸び切ったまま回転し攻撃するという手法は見た瞬間にそれを意識するものだった。

クラシカルな演出で言えば音楽、特に(おそらくシン用にアレンジされていたであろう)『進めウルトラマン』のインストは流れた時にアガるものがあった。

 

さて。ここまで思いつく限り褒めてきたつもりだし、良い作品だという声に同意出来る部分もある。

ただ私個人好みを言うならば「イマイチだった」となる。

長澤まさみを見る映画」という面では間違いなくプラスだし、先に述べた様に演出としてやりたいことも分かる。ただ1本の映画として考えた時に私が「好き」と手放しで言える作品では無かった。

それは単なる焼き直し感が強かった、と言えばいいだろうか。まずコンテ、カメラワークがあまり面白く感じられなかった。有り体に言えば「なんかシン・エヴァっぽいだけだな」と思っていた。非常に感覚的な言い方で申し訳ないが。

まあこれはTVシリーズから基礎設定を引っ張ってきているからある程度は仕方ないとも思えるんだが、どうしても物語に制限が出てしまうよなと。私としてはどうもウルトラマンが地球人を守る動機づけが弱いというか、私はそこに共感出来なかった。勿論半分は地球人類の破滅願望を否定できない私に理由があるんだが、それでも人間讃歌というには物足りないと感じた。

実写映画『進撃の巨人』観た時もだったけど、樋口真嗣監督作品とはどうも乗り切れない感じがある。

 

しかし、このシン・ユニバースは広告がまとめてそう言っているだけなのか、庵野秀明樋口真嗣が劇中設定として認可しているのか分からないな。マルチバースと言えば直近のMCU作品である『Doctor Strange:MoM』が思い浮かんだが、考えたらウルトラマンシリーズもゼロとかが劇中で他の宇宙がどうだとか言ってた。『シン・ウルトラマン』のマルチバースウルトラマンシリーズの事なのか、シン・バースの事なのか。そもそも続くのかも分からないが。

続編と言えばひとつ気になるのは、禍威獣ラルゲユウスが劇中で行方不明のままなんですよね…。

とりあえず次は『シン・仮面ライダー』なので、それはそれで期待はせずに楽しみにしておくとする。

 

 

P.S.

エヴァが完結して解き放たれた感があるから、すごく気楽に庵野秀明の仕事を待てている自分がいる。

2021年私的まとめ

2021年前半は、いつもどおりアニメや映画やゲームに心血を注ぎながらも、心の半分以上は愛猫に配られていました。詳しくは前回で書いたので省きますが、今も愛情を注いでいます。

そういえば、今はもう金も賭けず、中継も見ていませんが競馬について少し学んだりもしました。自他共に認める「らしくない」趣味だったと思いますが、これからもこういったチャレンジは気が向けばしていきたいなと思います。実はそれ迄(競馬を含めて)競輪、競艇、パチンコ、スロット、カジノなどの所謂公営ギャンブルをしたことが無かったので、人生初のギャンブルでした。競馬だけでなく、スケボーや美術に対する認識が深まったり、ジンジャーエールが飲みたくなったりとあいも変わらず作品からは色々と影響を受けています。

公開延期が相次ぎ、去年は新作の視聴数と比例して当選考の数も減らしての発表でしたが、今回は10選ずつ選ぶことが出来ました。

 

 

 

アニメ選

・『アイカツプラネット!』

・『SK∞ エスケーエイト』

・『ウマ娘 プリティーダービー Season2』

・『ぶらどらぶ』

・『無職転生~異世界行ったら本気だす~』

・『トロピカル〜ジュ!プリキュア

・『オッドタクシー』

・『Sonny Boy』

・『ラブライブ!スーパースター!!』

・『王様ランキング』

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昨今はソシャゲのサービス開始前の入り口としてのTVアニメ化がかなり増えてきているなあと思う。他にも、MCUの影響が少なからずあると思うが、昔の作品をリメイクもしくはユニバース化して以前のファンを再燃または新たなファンを獲得したりもしている様に思える。

今年で言えば『アイカツプラネット!』は長く続いてきた『アイカツ!』シリーズをモダナイズする事により新たな風を吹き込んだ意欲作と捉えられる。シリーズでのお決まりを踏襲しながらも、実写とアニメの融合によって近年のアイドル作品に見られる「アニメとリアルの垣根を限りなく低くする」という流れに乗っている。最初は半信半疑だったとしても、確かに『アイカツ!』の息吹を感じられるのではないだろうか。

内海紘子と大河内一楼ボンズで何を見せてくれるのかと思いながら見始めたのが『SK∞ エスケーエイト』。内海紘子という時点で察する方もいると思いますが、ブロマンス的要素を混ぜつつスケートボードの魅力や楽しさを伝える。今迄スルーしていたスポーツショップスケートボードコーナーが楽しくなりました。

さて。やってきました『ウマ娘 プリティーダービー Season2』。実在の競走馬を擬人化したウマ娘たちが、これまた実際に行ったレースを走り、そこに感情や想いや理由を足してドラマに仕立てていく。トウカイテイオーメジロマックイーンをメインに据えたS2はよりウマ娘の物語に注力されており、2人のライバル関係とそのドラマの巧みさは尋常ならざる素晴らしさと言わざるを得ない。

久方ぶりの押井守原作TVアニメ『ぶらどらぶ』。実写映画『血ぃともだち』のTVアニメ版。作品を通して押井守の現在が垣間見れる…、かはともかく。古風な演出に現代的な画作りがしてあったり、パト2のセルフオマージュがあったりと押井作品を知る人にはなかなかに目を引く作品だった。しっかし、佐倉綾音は評価されてるなあ。

今や日本に溢れている異世界転生モノ。最近の記憶にある中で私が最も面白く見れていたのが『無職転生~異世界行ったら本気だす~』だ。ゴアもエロも可能な限り演出で描こうという意気込みを感じる非常に好感が持てる作品。種族、噂、差別、偏見など生々しい人の営みが強いリアリティを生み出していて、更なる謎の数々に世界の広大さと奥行きを感じる。主人公の前世でのトラウマを踏まえつつ展開される人間ドラマも構造が出来ていて面白い。

シリーズ18作目『トロピカル〜ジュ!プリキュア』。シリーズ構成を横谷昌宏が担当するという事もありキュンキュンな期待感を持って見始めた。今回は南の島から引っ越してきた夏海まなつ(CVファイルーズあい)を筆頭に「今一番大事なことをやる」と「後回し」について物語を展開させている。初期の印象はとにかくキャラクターがかわいいだった。それでいて、現代に合わせた言葉の使い方や教育の姿勢にも高い対応力が見られ、気配りが行き届いた一作である。

オッドタクシー』はリアルタイムではなく少し遅れての視聴だったがミステリーとして、ドラマとして人物の配置や展開の仕方が見事で非常に完成度の高さを感じた作品でした。画面はポップに可愛くしながらも、現代社会の闇にグサグサと切り込む突破力はカタルシスと同時に恐怖すらも感じかねないものでした。新作映画も控えているので楽しみ。

非常に稀有な空気感を持つ作品が『Sonny Boy』だった。ひとまわりして新鮮味のある設定と、独特な美術性のある作画。自らの意志を持った選択と、そこにあるのは未来ではなくそれぞれの世界。世界は変えられないけど、選ぶことは出来る。流行る作品ではないかも知れないけど、私は十分に面白いと思ったし、好きだ。

早くも活動を開始したLiella!こと『ラブライブ!スーパースター!!』。監督京極尚彦と脚本花田十輝という初代の息吹と共に、新たなラブライブ!の旗揚げとなった。シリーズ定番の演出や展開は残しつつも原宿という立地に依った新しさも感じる作品。意識して毛色を変えたニジガクが出てきたことによって引き立て合うシリーズ作品となった事も特筆したい。

原作が面白いと聞いてはいた『王様ランキング』。肉体的な強さが評価される中世ファンタジー世界において聾唖者を主人公に据える事に感心し、また現代的だとも思った。ボッジの成長は勿論だが、闇が深そうな世界設定にも惹きつけられる。ミツマタがイケヘビ。

 

 

映画選

・『Portrait de la jeune fille en feu』

・『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇

・『Nomadland』

・『Shang-Chi and the Legend of the ten Rings』

・『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト

・『劇場版 ソードアート・オンライン-プログレッシブ- 星なき夜のアリア』

・『Candyman』

・『Last Night in Soho』

・『Venom:Let There Be Carnage』

・『劇場版 呪術廻戦0』

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段々とコロナで延期されていた作品の封切りが始まった2021年。とりあえず見たかった作品が見れることに安堵しつつも、まだ日本では公開が遅くなっている作品があるので待つしかないという幾らかのストレス。

2021年序盤に観た映画で印象的だった『燃ゆる女の肖像』。男性の不在による存在感を出しつつも、離島で束の間の楽園を作り上げる。繊細で美しく、初々しい愛の物語。人物の所作や表情など惹きつける映像によって、観客さえも画家にしてしまう。

ついに来た『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』。まあ監督が監督なので終わらない事も覚悟の上で行ったが、しっかりと終わらせてきたので驚いた。終わらせること出来るのね、と。碇シンジの物語としてのエヴァンゲリオンを描き切り、囚われていた人たちを解放させ、ようやく先に進むことが出来た。

ノマドランド』は1度の鑑賞では咀嚼できず、2度目で自分なりの味わい方が分かった。人間が作り出したシステムから放り出されて放浪する高齢者たちが自然という円環の中に身を置き生きていく。「さよなら」は無く「またどこかで」。旅立った人たちともまたどこかで会えるという安堵で今日も生きていく。

ついに公開が再開したMCU。その二の矢として放たれたのが『シャン・チー』。コメディを混ぜつつ、人間ドラマとエンターテインメントが奏功し、ユニバース作品としての繋がりも忘れない。ここで描かれる家族の物語は、もしかしたらMCUの中ではかなり貴重かも知れない。

この『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』という作品をどう表現すればいいのかは分からない。しかし2021年に私が観た映画の中で間違いなくトップを争う存在感を放っているのは間違いない。TVアニメやロロロでやっていた事を進化させ、深化したこの傑作は唯一無二の作品となったと言えるだろう。

シリーズで新たなスタート地点に立つ『劇場版SAO-プログレッシブ-星なき夜のアリア』は私がアスナが好きということと、アインクラッド編が好きということを再確認させてくれた。焼き直しでありながらも、新たな視点で紡がれるアインクラッドの物語。今更SAOで同性愛かと思ったら概念異性愛でした。

キャンディマン』を見るに際し映画館でのホラー鑑賞経験の少ない私はビビリ散らかしていたが、それでもやはり面白いものは面白い。黒人差別とアートとホラーを融合させ映画を作り上げたニア・ダコスタ監督も素晴らしいし、製作のジョーダン・ピールも相変わらず。恐怖の対象であるという反面、ある意味ではヒーローとも解釈できるキャンディマン。

あのエドガー・ライトとあらば見たくなる『ラストナイト・イン・ソーホー』。やっぱり映像と音の作り方、合わせ方は抜群でこの人は何ていうか「映画を作るのが上手い」んだなと。映像全体もさることながら、主演のトーマシン・マッケンジーとアニャ・テイラー=ジョイがこれでもかと魅力的に映っているのもポイント。

ヴェノム:LTBC』は可愛い映画。エディとヴェノムの行く末がどんなに分かりきったものだとしても「ヴェノムが可愛ければどうにかなる」と思ってそうな製作、特にトム・ハーディ。まあ良いんだけどね。私もこうして年間ベストに挙げているわけだし。知ってる人はブチ上がるあの人も出るよ。

エヴァに続いての緒方恵美主演作『劇場版 呪術廻戦0』。ゼロと銘打つだけあって『呪術廻戦』の基礎であり始まりの物語として申し分ない出来でした。勿論乙骨も良かったけど、私は結局五条悟の夢女子からは逃れられないんだなあ。今のところ、TVアニメを昨年のベストに入れたのに、今年も入れようか迷った程度には好きな作品。

 

 

選外

TVアニメ『ワンダーエッグ・プライオリティ』

TVアニメ『SSSS.DYNAZENON』

映画『The Suicide Squad』

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ

ワンエグについては演出とか作画とかはかなり好みだったんだけど、特別編という名の最終回まで間を開けられた上に視聴手段が限られていて、そのせいか結末の記憶があまり無かったので。まあ単純に思い出せないものは書けないって感じです。

ダイナゼノンは前作と変わらず好きだったんだけど、中盤はグリッドマンの時ほどの熱が上がってこなかった印象だったので。あ、南夢芽とムジナさんは可愛くて好きです。

スーサイド・スクワッドはジェームス・ガンやっぱやるなあって映画だった。選内にしても良かったんだけど、MCUの監督が撮ったDCEU作品ってところに引っかかりを覚えたので。

ハサウェイは正直未だによく分からない。自分なりの見方を確立出来ていない。余裕で選内な気もしてるし、普通に選外な気もしている。まだ結論を出せないのが正直なところ。

 

 

その他

2021年はSwitchでBOTWやMHXXをやっていた時間が長く、あまり旧作鑑賞は出来ていなかった気がします。BOTWもMHXXもプレイ時間が100時間を超えてもまだまだ未開の部分が多過ぎるくらいなので、これからも気が向いたときにポチポチやっていけそうです。先日もセールで新しいSwitchのソフトを2本購入したので、2022年もそうなるやも知れませぬ。

スマホゲーム(ソシャゲ)で言えばスクスタ、FGO、テイクレ、ウマ娘を主にやっており、一時期は雀魂やMTGにも熱を出していました。FGOは2部6章が凄く面白かった。Among Usも楽しんでます。

あまり旧作鑑賞が捗らなかったと言いましたが、印象に残っている作品を挙げておきます。『Paterson』、『容疑者Xの献身』、『ゴジラ』(1954)、『装甲騎兵ボトムズ』、『とっぷをねらえ!』。特にトップはエヴァの完結ということで見たんですが凄まじい熱量の作品でめっちゃ面白かった。

 

最後に

ここまで書きませんでしたが『フラ・フラダンス』を観て時代の移り変わりがはじまっているのかなと思いました。これまでは被災の真っ只中といった印象でしたが、もしかしたらこれからは「その後」を描く作品が増えてくるのかも知れないと。

あと、毎年こういったまとめを作る度に「去年の自分ちゃんとやってて偉い」と思います。

コミケも再開されることですし、少しずつでも後になってやっといて偉かったと思えるカツドウをやれればなと思います。勿論、気が向いて無理のない範囲で。

 

2005.04.15~2021.05.09


※気付いたら8000字を超えていました。ほとんど思いつくままに書き、セルフ校正もしていないので読みやすさは全く考えてません。

 

去る2021年5月9日午前1時45分。私の親友が旅立ちました。

親友の名は「ライち」。

彼は人間の私とは違う、猫という生物に生まれました。

種族は違っても、私の友人は私たちを「親友」と表現してくれました。それはライちが旅立つ数時間前の事で、借り物を返すついでに少しだけした会話の中での言葉でした。

私は他人からそう表現して貰ったことがものすごく嬉しかった。

 

ライちが旅立って数日。

Kobeの時はただただ訳が分からず、途方も無い無力感や悲しみばかりだった。

ライちの時は心に穴というよりは、自分の愛や時間をかけていた相手が急にいなくなった感じ。

まだまだ貴方の為の愛も時間も用意するし、したいのに、受け止めてくれる相手がいなくなってしまった。振り上げた拳をどうしていいか分からないみたいな。

全身全霊を賭した使命を取り上げられてしまった様な。

難しいのは、ライちの世話などが仕事とかではなく、好意故にやっていたということ。面倒な仕事とかの様にする必要が無くなったからと言って「終わったー」とはならない。

一応、ある程度の覚悟はしていた所為かKobeの時の様な絶望感や脱力感や虚無感に襲われてはいない。今のところは。

 私にとって、Kobeが最高のヒーローだとしたら、ライちは最愛の親友でした。

 

 さて。昔話から話していきます。

出会いは私が高校生の時。正確な日付は覚えていませんが、6月の初め頃だったと思います。

体育祭に向けて放課後に集まり、応援やダンスの練習をするー通称:闇練ーの帰りでした。

その日は俄か雨が何度か降っていて、地面は濡れていました。

場所は近所の小学校に沿った遊歩道。

高校生は10時までなら補導されないので、そのギリギリを狙って解散していたことにより暗闇を照らすのは人工の街灯くらい。その数十メートルという間隔で設置されている街灯の明かりの中で、いかにも猫という感じの高目の声で彼は鳴いていました。周囲には私と彼以外の生物の気配は無し。

私が自転車を止めても助けを求めるかの様に鳴き続けていました。

私は自分ひとりではどうしていいか分からなかった為、親に判断を仰ごうと家に向かって自転車を再び漕ぎ出しました。私がそうして去ろうとした時に、彼は少しついて来た事をよく覚えています。「ごめんね」と言いながらスピードを上げたと思います。

そして家に帰って「子猫が鳴いてたんだけど…。」といい、その場所まで案内しました。

母と妹が来ましたが、彼が余りに小さく本当に手乗りサイズだった為、1メートル程にまで接近しないと2人は認識してくれませんでした。

そうして、抱いた母親の腕を噛みながらも彼はその後約16年間過ごす家に連れて来られました。

最初は他に飼ってくれる家がいないかと私も同級生に尋ねてみたりもしましたが、新たな引き取り手は見つかりませんでした。

拾って来た時の彼の様子は、ずっと鳴いていて、雨に濡れており、髭の根本に独特の模様がありました。

最初は警戒していたのか、分からなかったのか、飲み食いしませんでしたが、お皿を用意してあげたり、医者で診てもらったりしたらドンドン食べるようになりました。

髭の根本にある独特の模様は実は鼻水が固まったもので、ウィルス性の風邪を引いており、そのまま放っといたら死んでいたと医者から言われました。

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拾われてきたばかりの頃のライち

冒頭の名前、よく間違われるんですがあれは書き間違いとかではなく「ライち」で合っています。

命の大切さを表現したくて英語の「LIFE(ライフ)」と日本語の「命(いのち)」を繋げて、私が「ライち」と命名しました。

 

家に慣れてからは色々とやることが増えていって。

ご飯の場所、お水の場所、トイレの場所は覚えてもらえました。

あとはまあとにかく元気が良くて。毎日数回はハイテンションに走り回る時間があり、

お留守番を任せて帰ってくると障子やティッシュが大惨事だったり、

よくじゃれついて色んな人の足や手に傷を作ってました。

全く知らない人、郵便配達や清掃業者の人には人見知りしますが、懐くに至るまでにある壁は割と低く、知ってる人が親しげにしてれば大抵はすぐに懐いてくれてました。

ライちが自分の役割というか、習慣化していたことが幾つかありました。

母親の洗濯について行って空になった洗濯カゴに入って戻ってくる、

誰かが帰って来ると玄関まで迎えに行く、

夜は母親と一緒に寝る、

朝私が起きてくると挨拶をしてくれる、あたりだろうか。

そういえば大学の長期休暇で久しぶりに帰省した時、玄関で私の顔を見た瞬間に目を見開いたことがあったなあ。当時は「誰ぇ!?」ってことかと思ったけど、どうなんだろ。あの表情は笑えた。

私はあまり体験しなかったけど、どうやら若い頃はちょいちょい脱走していたらしい。基本、室内飼いなのであまり外には出さなくて、偶にベランダやリード付けての散歩や抱っこで外に出ると喜んでた。

家の誰か(大抵は母親)が庭いじりとかで家の周りにいると「ぼくも連れてって」って感じでずっと鳴いてたな。

あと、抱っこは基本的に好きじゃなかった。抱えあげても10秒と保たずに嫌がりだすし、顔同士を近づけると「ヤメレ」って感じで腕で突っ張る。でもそうすると肉球が顔に当たるので満更でもなかったり。

ライちは手を顔に当てたり、腕や足に飛びかかって傷を作ったりはしていたけど、アニメなどで描かれる顔に爪を立てるような事だけは絶対にしなかった。これは後で知ったことなんだけど、母親の知り合いが赤ちゃんを連れてきた事があって、その子に耳をイジられたんだけど、私とかが相手のライちなら必ず噛んだり爪でじゃれてくるのに、その時は何も手を出さなかった。手を出していい相手、駄目な相手をしっかり理解していたんだろう。

追いかけっこをしていたり、イタズラをして怒られると悟った時に逃げるのを諦めると、降参のポーズとしてその場で倒れておなかを見せていた。

「駄目」「ちょっと待って」「寝るよ」は度々理解していると思える言動を見せていた。2階で寝ている時とかに1階から呼ぶと駆けつけたりもした。

ライちの目線で両掌を見せて「おいで」と言うとほぼ必ず手を目指して近寄ってきたので、これは確実に理解していたと言えるだろう。

新鮮な水が好きで、目の前で新しく汲み直した水でないとあまり飲もうとしなかった。

基本的に寝る場所は母親の寝室となっていたが、私が深夜に帰宅したり風呂に入っていると起きてきたりもしたし。私の部屋や妹の部屋でお気に入りの場所を見つけてはそこでもよく寝ていた。大抵は座布団、畳んである掛け布団、ブランケットの上だった。私は普段あまりいっしょに寝てこなかったので晩年は寝室以外でライちが寝ている時にそっと横におじゃましたりしていた。

あと、深夜に寝室に行く際にライちは私に付き添いを頼んだ。リビングから母親が寝ている寝室まで同行しろとなって、よくついて行ったものだった。 

挨拶代わりにしょっちゅう鼻同士を近づけていたりもした。

 

こうやって思い出そうとするとライちとの思い出はやはりキリが無い。

暑いのが苦手で、それでいて冷房が嫌いなもんだから、夏は室内の戸を開けて全館冷房で熱中症対策。

寒いのも嫌いだったけど、冬はストーブと炬燵が大好きでよく寝ていた。ストーブは吹出口からほぼゼロ距離で暖を取っていることがあり「焼き猫になるよ」と移動させたりもした。涼しい季節になってくるとよく他人の胡座の中に入ってきて落ち着きだしていた。殆どの場合、数時間胡座をかいたままになるので入られた人間は足の凝り固まりとの戦いだった。夕飯時には私などの食卓椅子に座っていて、降ろされたり、私は他の椅子に座ったりして対応していた。

偶に炬燵や布団から頭だけ出して寝ている事があって、どこかで「自分は人間だ」とも思っていたような印象もある。

顎を撫でられるのが好きで、撫でてやるとどんどん顔が上を向いていった。でも身体とか尻尾はやはりあまり良い気はしないみたいで、ちょっと触るとすぐに自分で舐めて洗っていた。首と手の間が特に毛並みが良く、ツヤツヤふさふさでそこもよく撫でていた。勿論、頭頂から背中にかけてのラインも好きだった。

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 小さい頃から腎臓の数値はよく無かった。猫としては珍しいことではないようだが。

念の為にずっと病院で購入した腎臓ケア用のご飯を食べていた。2021年の初頭に殆ど何も食べなくなった日があって、その時にCiaoちゅ~るやシーバなど市販のご飯を出したら、それはそれで喜んで食べていた。体調は悪くなっていった2021年の春頃からは、ご飯やお水の器を持ってあげて食べやすい位置に差し出す事で栄養補給をしていた。食欲自体はあった。まあ、認知症も少しあったようなので食べたことを忘れていた可能性も無くはないけど。

 

猫の寿命は15歳前後と聞いていた。なので2020年に15歳を迎える前辺りから私はいつか来るであろうその日の事を偶に考えては辛くなっていた。

目に見えて衰えが見え始めたのも2020年の春から夏あたりだっただろうか。足腰からだった。以前からおもちゃで遊ぶ時にジャンプをしなくなってはいたが、階段をスムーズに登れなくなった。調子の良い日は軽快に出来ていたが、一歩一歩ゆっくり登る事が多くなっていった。その次は水飲み場にしていたシンクに上がらなくなり、次は寝床にしていたチェストに上がらなくなり、最終的には階段の上り下りが出来なくなった。上りは兎も角、本人的には自力で階段を降りたい気持ちはあるみたいだったが、ほぼほぼ途中で転がり落ちるので注意が必要だった。

また、2020年は「どれだけ寝るの?」って位寝ていたのが、腎臓の数値が悪化していくにつれて起きてる時間が増えていった。具合が悪い時程ライちは起きているみたいだった。2021年の3月からは投薬だけでなく、病院通いの輸液も始まった。腎臓の不調と足腰の衰えが重なり、したくてもトイレで用を足せなくなった為、おむつを履かせる様になった。幸いにも、おむつは特に嫌がることなく履いてくれていた。

輸液は自宅でも出来るとのことだったが、ライちが家で大人しくしてるとは思えなかったので病院通いを当初は続けていた。しかし、やはりライちのストレスを考えて4月の下旬からは自宅での輸液にシフトした。しかしライちは予想に反して、自宅での輸液中だけは大人しくあり続けた。私はまだまだライちの利口さを測りかねていた。しかしそれでも違和感があるのか、ライちは鳴きながらの徘徊を止めずに、声も低くハスキーになっていった。

元気がなくて尻尾が下がっていても、横っ腹をポンポンと優しく叩くと嬉しかったのか、尻尾が立ったりしていた。

 

世間が緊急事態宣言下のGWで騒がれている中でそれは突然のことだった。いや、思い返すと、左側のご飯ばかり食べていたり、小さな予兆はあったが。5月4日の夜、いつも通り母親に抱かれて床についたライちだったが、興奮が収まらなかった為に、医者から処方されていた鎮静剤を飲ませて就寝した。

連日のライちのお世話で肉体的に疲れていた私は母親がいるからと5日はゆっくりと昼過ぎに目を覚ました。そうしたら、回遊魚に様に動き続けていた前日までとは打って変わり鳴かず騒がずにベッドで横になっているライちの姿がリビングにあった。目は開いてて息もしているが、身体が動かせず、自立も出来ず、鳴くことも出来なくなっていた。結論から言うとおそらくは癲癇(てんかん)により脳がダメージを受けたのではないかと。癲癇発作は4月の初旬頃に1度起こしており、その時は病院にすぐに連れていき、症状もすぐ収まったが。今回は就寝中に人知れず起こったと思われ、朝に母親が目を覚ました際にはこの状態だった為に私としては「しかたがない」と思う他無かった。

 5日、6日と続けて病院に連れて行ったがライちの状態は回復の兆しは見えず。7日に私は1人で薬を貰いに行った際、獣医にライちの様子を動画で見てもらいつつ色々聞いてみた。特に覚悟をして「今にも息絶えそうで…」と言った。先生は「いつ急変してもおかしくない」「どんなに心臓の強い子でも保って半月」と。「ただ本人に痛みや苦しみは無い」と言われたのはせめてもの慰めだっただろうか。

私は涙を堪えながら帰宅して、1人で泣いた。ライちの先が短かったからではない。先生から「このコ、凄く頑張っている」と言われたからだ。声や表情が出せずに感情が表現出来なくなっても、頭がボンヤリしていても、ライちは無意識に手足を動かして歩こうとしていた。そんなライちの強さ、凄さが刺さった。

猫は健康なフリが上手いとも聞いた。ライちは最期の最期まで健康なフリを止めなかった。動かなくなってもスポイトでお水を口に入れれば舌を一生懸命動かして飲むし、病院から購入した高カロリーの流動食をあげたら嬉しかったのか、顔に生気が戻ったようだった。

寝たきりになって、人間が起きている間は付きっきりでの看病で、一定時間毎にお水を与え、おしめを替え、床擦れ防止の為に体勢を変える。ここに至り私は「ライちが命を全う出来ること」を使命として自らに課していた。その前から「出来る限りのことをしてあげたい」と思ってはいたが、ここで更新された。

正直なところ、猫や人間に限らず寝たきりになった生物に対して自分が愛情を注ぎ続けられるか疑問だったのだが、その点において問題は全く無かった。愛しくて仕方なかった。側で寝たり、目線を合わせて「ライちゃん偉いなあ。」「お利口さんだなあ。」「頑張ってて偉いなあ。」と撫でながら話しかけ続けた。

8日(土)になっても相変わらずの寝たきり。結婚して引っ越した妹も駆けつけて、ライち最優先で介護にあたっていた。昼間は天気が良かったので、私が抱っこして家の外周を散歩した。身体は動かなくとも、ご飯や水を口に入れると舌を動かして食べていたので「医者が言っているほど悪くないのでは?」とかちょっと思ったりもした。

日が暮れて、私は前から借りていたコミックを友人に返すために近くの待ち合わせ場所に向かい、少しライちや各々の趣味の現状について1時間程駄弁って帰宅した。ライちは妹の腕の中に抱かれていた。妹は準備こそして来なかったが、ライちの様子を見て泊まることに決めたらしい。基本的に抱っこが嫌いなライちだったが、身体が低調になるにつれ安心感を覚えたのか黙って抱かれる事が多くなり、場合によってはそのまま寝たりもしていた。その後も、ご飯を食べたり水を飲んだりして、私以外の人間は風呂に入ったりして就寝の時間を迎えようとしていた。

夜12時頃、就寝し始める時間になったのでおむつを替えようとすると、ライちは下痢をしていた。人間だったらお腹が痛いであろう状況で、弱っているライちには尚酷だと思われた。まだ、便を出しきれない様で肛門を必死に動かしていたし、息も荒くなっていた。やはりお腹がグルグルと音を立てていたのでマッサージしながら、落ち着くのを待った。胃腸の調子が悪いのであれば便を医者に見せれば何か分かるかも知れないとお尻を拭いたトイレットペーパーを袋に入れていた。最後に排尿と便を出し切り一旦落ち着いた様だったので2階の寝床がある母親の寝室に連れていった。

 ベッドに寝かせた後にもう1度確認したらまた少し排便があったのでオムツを取り替えて、またマッサージしながらの排便待ち状態に。そして、便を完全に出し切ったかなと思った時、ライちの呼吸が止まったように見えた。呼吸を示すお腹の動きが見られなくなった。母親と妹が「ライちゃん!?」と声を出す。数秒後、お腹が動き始めた。私も心臓がドキッとしたが、一同胸を撫で下ろした。そして改めて各自就寝の運びとなったが、私はそのライちにおやすみをする時から覚悟をし始めていた。風呂に入りながら「明日の朝まで保たないかも知れない」とも思っていた。

風呂から上がり、自分の部屋でスマホをいじっていた時だった。「誰か来て!!」と母親が叫んだ。私は「その時が来た」と思いながら駆けつけた。見ると、ライちを抱いた母親が震える声で「呼吸してないよね!?」と言った。私も妹も呼びかけたが反応が無い。瞳孔も開いている。私が抱こうと譲り受けるも、全く開かなくなっていた下顎が力なくぶら下がる。また何度も呼びかけたがやはり反応は無い。私は悟り、ライちを抱きしめて「ありがとう」と言った。まだ身体が温かい内に妹にも抱いてもらった。

それから暫く悲しみが飽和した部屋にいたが、各々が何を言っていたかはあまりよく覚えていない。「下痢が負担になったかな」とか「ただ寝てるだけみたい」とは言ったと思う。私は先程会っていた友人に報告のメッセージを送り、母親が「寝る」というのでなんとか床についた。

翌朝、目が覚めた時もお昼も割とフラットな心持ちで入れた。動物病院に行き、火葬場のパンフレットを受け取る時も母は声を震わせていたが、私は気丈に振る舞っていたと思う。情緒が崩れだしたのは夕方5、6時頃からだった。前日までと同じ様に、リビングでライちの側に横たわり延々と彼の身体を撫でていたら、ジワジワと想いが溢れてきた。涙は垂れ流していた。鼻水は時々かんでいた。夕飯前になり、妹の旦那がライちの為に青と黄色のブーケを持ってきてくれた。自分もそうだが、他人がライちを想ってくれていた事はより私の感情を揺らした。

妹が着替えなどの為に一旦家に帰った後も、私はライちを撫でながら涙を流していた。前日とは違い早めに入浴をした後、ライちと2人きりになったので感情の箍を開けた。絶望や悲しみよりも、愛と感謝が止めどなく目から溢れてきた。私はライちの頭を手で包み、顔を当ててただひたすらにお礼を言った。

声をかけてくれたこと、出会ってくれたこと、ワガママを言ってくれたこと、遊んでくれたこと、いっしょに寝てくれたこと、噛んでくれたこと、ご飯をたべてくれたこと、呼んだら来てくれたこと、返事をしてくれたこと。

とにかく思いつく限りの事に「ありがとう」と言った。

そして、その夜はいつもの母親の寝室ではなく、私の部屋でいっしょに寝たいと申し出た。母親から「ライちファーストだから、あんたはそれで寝れるのか?」と聞かれて言い返せなかったが、まあそれはそれで。

最初はデスクチェアーに乗せたが、ライちは私のベッドの上に畳んである掛け布団の上が好きだったので、こっそりそっちに移動させた。そして、またこっそりと遺品として髭を拝借し、ずっとさせてくれなかったスマホゲームのガチャも引いてもらった。私はカーペットの上で寝るつもりだったが、ライちを撫でている間にウトウトし始めてそのままライちの横で眠りに落ちた。

5月10日。火葬場へ行き、みんなが用意してくれた花やよく食べていたご飯、私が手作りした玩具を棺の中に入れ、お別れを済ませて焼いてもらった。

肉体が無くなったら、呆気なさを感じたのか、拍子抜けしたのか、気が緩んで火葬場からの帰路は少し眠たくなったりもした。

遺骨は「いきなり知らないところに入れられても困るだろう」と思い、暫くは家で安置することになった。骨壷カバーは春生まれということで桜の花びら模様で、私の強い希望により色はピンクになった。室内外で毛並みが良く、しっかりとした美人さんだったのでライちはピンクが良く似合うと思った。

 

ライちが亡くなって数日。リビングのちゃぶ台に作られた仮の仏壇は少しずつアップデートを重ね、かなり賑やかな卓上になっている。

私は毎日、骨壷を撫でたり、話しかけたり、水を替えたりしている。

足の運び方や意識を割く割合などの何気ない自分の行動がライちがいるが故のものだったことに日々気付かされている。ご飯にのせた明太子がライちと同じ匂いだった事にも気づいた。

やはり16年の重みというのはかなりのものの様だ。

そういった張り合いの無さというか、肩透かし感を強く覚えているが、思ったほどの絶望感に沈んではいない。無論、悲しくはあるし落ち込んでもいる。

私は覚悟を少し勘違いしていた。覚悟はいくらしたところでしきれるものでは無かったし、覚悟はしてれば辛くなくなる訳ではなく「めちゃくちゃ辛いからご了承ください」という事だった。

 

私はライちではない。たとえライちが人間であったとしても、軽々に「ライちは幸せだった」と断じるのは私の性格上それは人間のエゴに該当してしまう。

勿論、他人が慰めでそう言ってくれたり、火葬した日の夜に通話した友人から「すごく幸運な猫だし。(私の「完璧ではないかもだけど、出来る限りの事をしてあげたい」に対して)完璧だったと思うけどね。」と言ってもらえたのは嬉しくもある。

ライちが幸せだったかどうかは私には分からない。けど少なくとも私はライちがいてくれて幸せだったし、もしライちも幸せだったんだとしたらそれはこの上なく嬉しい。ライちの幸せに対して私は願うことしか出来ない。

私に言わせれば、ライちは最期の最後まで凄く頑張ったし、お利口さんであり続けた。

「天国なんて無い」「死んだら誰しも無なだけ」なんて言う人がいるが、じゃあ聞きたい。「あなたは死んだことがあるんですか?」。まあ、そう考えるのは勝手だし、私もそう思っている部分もある。でも虹の橋の事や輪廻転生や天国があるって考えるのはロマンやセンスが有ると思う。そして、そうした考えが遺族にとって癒やしとなるなら、それこそ必要なものだ思う。

兎にも角にも、私はこれからもライちを愛し続け、生涯忘れることはないだろう。

多分ここに書きたかったのは「私はこれまでもこれからもライちが大好きで堪らない」という事。と、ひたすらなライち自慢ですね。

 

今後も、ライちとの思い出を思い出してはここに綴っていくかも知れません。

 

9日に泣き続けたせいで右眼の瞼にバイ菌が入ったらしく、10日は痛みが有り、11日からは腫れも追加されたので、12日に眼科に行ったら「化膿しかかっている」と言われた。

ライちも寝たきりになってからは右眼が見えて無さそうだったから「これは置き土産かな…。」なんて事を考えています。

 

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2020年私的まとめ

2020年で私にとって最初の大きな出来事は『ラブライブ!フェス』で、コロナの危機感が世界に広がる直前とかだったのでギリギリだったのと、あのタイミングで開催してもらって、行けて良かったという想いがあります。虹ヶ咲の新鮮さ、Aqoursの楽しさ、Saint Snowのかっこよさ、μ'sの安定感。どのアイドルもしっかり推せる理由があって正にお祭り騒ぎ。SSのところでブレードの振り過ぎにより皮がめくれたり、肝心の朱夏ちゃんの自己紹介で声が枯れてたりしましたが、充分楽しめました。

その1週間後からはコービーやジアナちゃんたちが亡くなったり、夏にはチャドウィック・ボーズマンも亡くなったりで筆舌に尽くせない絶望を感じていました。繰り返しになりますが、ここでも哀悼の意を表します。個人的には画像を見ているだけで未だに悲しい気持ちになりますし、喪が開ける気配も全くありませんが。

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ただそんな中でも、良い作品に出会うことで日常を少しでも思い出すことも出来たと思うので、制作の方々にも感謝ですね。

という訳で、今回は数は決めずに印象に残っているものや良かったと思ったものを挙げていきたいと思います。まず作品を挙げて、その後で個々について語っていくスタイルです。

いつもは10選なんですが、足りない分を少しその他で補ったつもりです。

 

 

アニメ選

・『ガンダム ビルドダイバーズ Re:RISE』

・『映像研には手を出すな』

・『推しが武道館いってくれたら死ぬ』

・『かぐや様は告らせたい』2期

・『BNA』

・『アサルトリリィ BOUQUET』

・『呪術廻戦』

・『いわかける!-Climbing Girls-』

・『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

・『ミュークルドリーミー』

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コロナの影響で放送の延期が多かったが、こうやって選んでみると今回も問題なく選べる作品があって改めて感謝です。

『ビルドダイバーズRR』で言えば、区切るのであれば18話で良かったと思える判断だった。19話から長らく匂わせてきたヒロトの過去に本格的に切り込む内容だった為、その途中で間を空けると視聴者側としては悶々としたまま数週間過ごす事になっていただろうし、感情の盛り上がりとしても保たない可能性が高くなる。結果として19話以降を順調に見れて良かったと思う。前作も掬い上げる展開に胸が踊りました。

『映像研には手を出すな』とか『推しが武道館いってくれたら死ぬ』のあたりは個人的な事情で精神衛生がズタボロだったので、記憶が不鮮明な上に記録(Twitter)にも残ってなかったんですが、良い作品だったことは覚えています。『映像研』は、金森氏が現実的な茶々をいれつつも、創作の楽しさや自由さが伝わってきて楽しかった。『推し武』は独自のアイドルの内情やあり方を描きながら、主人公はファンのえりぴよであり、アイドルとファンの関係性にも焦点を合わせていて興味深く見れた。私は空音推し。

かぐや様は告らせたい待っていた2期。原作はコミックでそこそこ読んでいるので予想はしていたが、やはり体育祭編が大きな山場でしたね。裏の主人公とも言える石上の過去と現在の照らし合わせをして、彼の正義を完結させる。本人は「そんな格好いいものじゃない。」と言いそうだけど。2期も安定して面白かったし、作画や演出にも磨きがかかって見えた。

Netflixで先行配信された『BNA』。映画もアニメも今後こういう放送が増えていくんだろうな。コロナ禍で更に拍車がかかっているとも思う。TRIGGER制作で主演が諸星すみれとあれば見ない理由が無い。いい作品でした。「他人の選択肢を奪うのは最高にキモい。」という、時代を考慮し論理に感情をのせて殴るという「らしい」作品だったと思う。

スマホゲームの前日譚として放送された『アサルトリリィ BOUQUET』。キャラが多くて名前が覚えきれないのは仕様で、最低限として梨璃、夢結、美鈴、結梨を覚えればいいと思う。シャフトのバトルアクションに新鮮さを感じながら、バトル少女や百合ものの系譜として面白い作品だった。毒を以て毒を制す。リリィとなった少女たちの微妙な立場や感情の葛藤を見せる。最後はパシリムのオマージュ?

ジャンプで原作連載中の『呪術廻戦』。先ず第1話のopとedを見た時点で楽しみな予感をビシビシ感じた。毎話があっという間に終わっていった。悠仁や伏黒、野薔薇を中心に個人の何気ない感情や小言を拾い、五条先生やナナミンら大人もそれを受け止め良しとする姿勢に頭が下がる想い。2クール目にすぐ入るのでそれもありがたき。

『いわかける!』を知った時に、ボルダリングに少なからず興味があった私としては、視聴するのに充分な理由があった。種目自体は素人でも、他で積み上げた経験によって才能を示し壁にぶち当たりながらも仲間と努力し登っていく。所謂スポ根ものと言えるだろうか。個性豊かなキャラクターたちや女性の筋肉描写など画面を注視したくなる要素が多い。どちらかと言えばedの方が好みです、画も含めて。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、もともとはスマホゲームで完結する予定だったキャラクターたちをアニメ化までもっていった本作。ゲーム内であった表面上だけの設定に中身を詰めて昇華させるのが非常に上手かった。また、ラブライブ!であってもラブライブ!に拘らないという意志も強く感じた作品でもあった。各々思い入れの話数があると思うが、私は6話と8話でした。推しは優木せつ菜。

『ミュークルドリーミー』は私の地域ではTV放送していないので噂が聞こえてくる程度でしたが、サブスクでビンジウォッチしたところ、これが面白いこと。座りの良い日本語とシュールな笑いを提供する脚本。ギャグ顔を含めて飽きさせない気配りが見える作画。まだ完結はしてませんが、気になる謎を残しつつ展開していく物語は夢中になります。

 

 

 

映画選

・『기생충』(『Parasite』)

・『Jojo Rabbit』

・『Luce』

・『TENET』

・『劇場版 SHIROBAKO

・『Midsommar』

・『ジョゼと虎と魚たち

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映画の方はとても長い冬に立たされている気がします。作品が出来てはいても、集客が見込めなかったり、新型コロナ感染の拡がりによって営業を縮小せざるを得なくなってしまうからです。そんな中でもMCUジブリなどの過去作品の再上映というのは不幸中の幸いとでも言うのでしょうか。私としては『ナウシカ』を映画館で観れたり、他の客とのスペースが十分に確保された状態で観賞出来たので、そう悪いことばかりとは想いませんでしたが。

『Parasite』に関してTwilogで検索して驚いた。何のツイートも残っていなかった。まあいいか。正直、韓国の格差事情には明るくないのですが、これもひとつのリアルなんだろうなと思いました。半地下と高台の家族間の対比や、上手くいく程に不安も増していくサスペンス、入り乱れる人間関係、時々差し込まれるコメディなど見る人を飽きさせずよく練り込まれた作品。調べると韓国ならではの小ネタも多く、よくまとめられてもいると思う。

Jojo Rabbit』は良く印象に残っている。特にサム・ロックウェル演じるクレンツェンドルフ大尉が…。ナチス、子どもの盲信、戦争などを風刺し、このシリアスなテーマを独自のコメディで強烈に皮肉るのは私好みだった。日本について言及していたのもポイントが高い。どこか『片隅』っぽさも感じました。

この不確かな雰囲気を持つ『Luce』という作品は、しかし確実にどこかには存在する現実なのかもという説得力があった。この作品が醸し出す「何が真実か分からないままお互い疑心暗鬼になっていき破綻を迎える」というある種の地獄の如き空気感は、今のアメリカだけでなく世界中に拡がっているものなのかも知れない。そして何よりこのタイミングで公開され放たれた「I can't breathe.」は、今だからこそ唯一無二の存在感でフィクションとリアルを結びつける最強の台詞だった。Black Lives Matter。

『TENET』、ノーラン新作ということ以外では私に事前説明は要りません。物語としては時間や空間からの解放という印象を私は受けました。『Inception』や『Intersteller』や『Dinkirk』などこれ迄の作品で見せてきた時間や空間の見せ方、演出を発展させたような作品でありつつ、どの作品ともまた違うものとなっている。ノーランが描いてきた「名前が残らない主人公」も遂には名前が明かされなくなった。いつもの映画館で見る為の映画であり、出す度にある意味での極致を見せてくれるなあと感じる。

再上映で見れた『劇場版 SHIROBAKO。急速に変化していくアニメ業界の中で成長した宮森たちが見せる「劇場版」。TVアニメから良くも悪くも変化しているムサニが印象的に描かれていて、宮森たちに改めてアニメ制作に携わる意味を問いかける。そして、劇場版アニメだからこその「らしい」カタルシスで締めてくれる。私が宮森に好感を抱く理由が見出だせた話でした。

アリ・アスター作品としての『Midsommar』。予想が当たり組み上がっていく快感と、カルトを纏った悪夢が現実となっていく不快感が同居する不思議な映画だった。画としても美しいスローライフの様な自然豊かな舞台で人間が儀式を始めるあたりも対比要素の同居として一貫している。で、ぶっちゃけ何処からがペレの仕業なわけ?

ジョゼと虎と魚たちは流れとして綺麗な恋愛物語だった。欲しい演出をしっかり入れて信用出来ると思ってからはあっという間の観賞でした。車椅子を使っている人へ他人が向ける態度の描写とか、中盤のジョゼのカタルシスとか、周りの人たちのキャラ性だとか、色々ありますが。私としては二ノ宮舞というキャラ一点だけでも選出理由としては充分だと思っています。

 

その他

4月の下旬から5月の上旬にかけて見たのが『Game of Thrones』だった。Amazonプライムの見放題で6章までを、Huluで7章までを野辺11日間で73話見きった。『アイカツ!』の178話に匹敵する程の時間だった。最初はキャラクターの多さに解説サイトを見ながらだったが、1章9話を見たのと、キャラクターを覚えていくに従って凄まじい勢いで視聴していった。各章の終盤にしっかりと盛り上がりを用意していたし、1話毎に描かれなかったキャラクターが何をしているのか気になっていた。6章あたりからは1話につき映画並みの予算をかけたと言われても充分過ぎる程頷ける内容でもあった。終わらせ方、結論としてもとても私好みでしっかり終われていたと思う。アリア・スタークというキャラクターがドツボ過ぎてヤバい。

バンダイチャンネルに登録して6、7月を目一杯かけて見たガンダム』シリーズ。今まで、宇宙世紀に殆ど触れてこなかったので「いつか」と思っていたのがこの時だった。見ていなかった作品や疎覚えだった作品も出来る限り観た。もともと『W』が大好きだったんだけども、『UC』や『∀』もかなり好きな作品になった。勿論各作品それぞれ良さがあるのは無論。見直してもやっぱり難しかったのは『Gレコ』でした。ガンダムという機体の意味として「感情のある子どもたちに大人と同じ意見を言う土俵に立たせる為の力」ってのが私が思ったところ。こうなるとビルドシリーズがまた一層楽しくもなる。

9月の末頃発表されたポケモンSPMV『Gatcha』


【Official】Pokémon Special Music Video 「GOTCHA!」 | BUMP OF CHICKEN - Acacia

とにかく、まずは見てくれと言うしか無く、見終わっても最高というしかない作品。全ての世代のポケモンファンに送る至福の瞬間の洪水。加えて広く深く突き刺さる汎用性抜群のBUMP OF CHICKEN『アカシア』。ポケモンがやりたくなった。

 

最後に

今年は見ていなかった『アイカツ!』シリーズも観たんですが、その上での小休止と振り返りも込めて『アイカツ!』167話「夢のスケッチブック」で瀬名あかを観ていたら身体が健康になっていくのを感じました。

まだまだ先行きも見えなくてこれから世界がどうなっていくかは分かりませんが、気が向いた時にでも良いので、素晴らしい作品に出会い、推しに出会い、偶には昔の作品を見返して健康になるのも悪くないと思います。

まあ、久しく全快という状態を知らない私が言うのもアレかも知れませんが。