outlet

アニメや映画などを観て感じたこと、想ったこと。ネタバレする場合有。

映画『シン・ウルトラマン』初見感想

いきなり他作品のことからになってしまいますが、1月に『Spiderman: No Way Home』の感想をここにアップしようかずっと迷っていましたが、何故か『シン・ウルトラマン』になってしまいました。

Twitterよりブログの方がアクセスが能動的になるのでネタバレを気にせずに感想を上げるならこっちだよなと常々思ってはいますが、なかなか重い腰が上がらない私です。

 

というわけでネタバレ有りで書いていきます。

 

私の前情報としてウルトラマンシリーズは幼少期に好きだったコンテンツのひとつで、特にレオを見ていた記憶が残っています。狼男回がめちゃくちゃ怖かった。

過去の栄光?になりますが、下半身の模様だけでウルトラマンを判別出来た頃もありました。

近年はジードに嵌って、TVシリーズとベリアル関連作を含む映画数作品を観たくらいです。

未だにジードライザーを買おうか偶に考えます。

(キングソードがなあ、子ども用に作られてて指を入れる部分が小さいんだよなあ…ブツブツ)

 

 

まあ先ず何を置いても、浅見弘子役の長澤まさみ。禍特対のメンバーは設定上特殊なキャラクター揃いな訳ですが、それに加えて本編途中から加わり、神永新二(斎藤工)/ウルトラマンのバディとして動き回り、巨大化したり体臭を確認されたり。観客の目線を引き受ける役からフェティッシュまで非常に幅の広い役割を見せてくれたと思います。

もうひとり、山本耕史。地球人より知性も文明力も高く、それでいて原生生命体の文化を学び懐柔しようとするメフィラス星人を圧倒的な存在感で演じてくれた。地球の文化を学ぶという意味ではウルトラマンの先輩にあたるし、斎藤工よりキャラクターが強く出ていたとしてもそれは演出上間違っていないのかなと思う。

キャストといえば、政府関係者に『シン・ゴジラ』との共通点が見受けられました。この辺はシン・ジャパン・ヒーロー・ユニバースを意識してのことなのかな。

 

今回の物語は、ウルトラマンがどういった経緯で地球人を守る様になったか。首謀者はメフィラスで、思い返すとゾーフィのゼットン起動もメフィラスの企みの延長線上にあった感じなので、その辺はTVシリーズウルトラマン』から上手く抜き出して繋げたなと。

最後をゼットンにしているとはいえ、個人的に「シン・ウルトラマンの第1章です」と言われた感覚があって。勿論これ単作での起承転結はあるんだが、数部作に渡る作品の「起」だと言われても違和感は無い。ラストカットが目覚めた神永の一人称視点だというのも理由のひとつだし、劇中でメフィラスが地球人の有用性を証明したことで「これから外星人に狙われるからな」って言われているので。

 

当作では禍威獣と外星人がはっきり分けられていて、序盤に出てくるゴメス、マンモスフラワー、ペギラ、ラルゲユウス、カイゲル、パゴス、ネロンガ、パゴラは禍威獣でメフィラス曰く「地球に放置された生物兵器」。そして中盤以降に出張るザラブ、メフィラスが外星人で人類以上の知性が覗える。いや、私が昔の作品を正しく認識していない可能性も有りますが。

さらに禍威獣への対応も性質を分析した上で有効かつ後処理に困らない方法が模索されており、これらの科学的考証や細かい設定が成されているあたりは庵野秀明が関わっているなあと思える部分だった。

モーションアクションアクターとして庵野秀明がクレジットされている事も一因してなのか、現代の進化した3DCG技術を使いながらもクラシックな人形を使った特撮的な演出も目立っていた。特に飛行中のウルトラマンが敵に蹴りを放つシーンにおいて、体勢を変えることなく身体が伸び切ったまま回転し攻撃するという手法は見た瞬間にそれを意識するものだった。

クラシカルな演出で言えば音楽、特に(おそらくシン用にアレンジされていたであろう)『進めウルトラマン』のインストは流れた時にアガるものがあった。

 

さて。ここまで思いつく限り褒めてきたつもりだし、良い作品だという声に同意出来る部分もある。

ただ私個人好みを言うならば「イマイチだった」となる。

長澤まさみを見る映画」という面では間違いなくプラスだし、先に述べた様に演出としてやりたいことも分かる。ただ1本の映画として考えた時に私が「好き」と手放しで言える作品では無かった。

それは単なる焼き直し感が強かった、と言えばいいだろうか。まずコンテ、カメラワークがあまり面白く感じられなかった。有り体に言えば「なんかシン・エヴァっぽいだけだな」と思っていた。非常に感覚的な言い方で申し訳ないが。

まあこれはTVシリーズから基礎設定を引っ張ってきているからある程度は仕方ないとも思えるんだが、どうしても物語に制限が出てしまうよなと。私としてはどうもウルトラマンが地球人を守る動機づけが弱いというか、私はそこに共感出来なかった。勿論半分は地球人類の破滅願望を否定できない私に理由があるんだが、それでも人間讃歌というには物足りないと感じた。

実写映画『進撃の巨人』観た時もだったけど、樋口真嗣監督作品とはどうも乗り切れない感じがある。

 

しかし、このシン・ユニバースは広告がまとめてそう言っているだけなのか、庵野秀明樋口真嗣が劇中設定として認可しているのか分からないな。マルチバースと言えば直近のMCU作品である『Doctor Strange:MoM』が思い浮かんだが、考えたらウルトラマンシリーズもゼロとかが劇中で他の宇宙がどうだとか言ってた。『シン・ウルトラマン』のマルチバースウルトラマンシリーズの事なのか、シン・バースの事なのか。そもそも続くのかも分からないが。

続編と言えばひとつ気になるのは、禍威獣ラルゲユウスが劇中で行方不明のままなんですよね…。

とりあえず次は『シン・仮面ライダー』なので、それはそれで期待はせずに楽しみにしておくとする。

 

 

P.S.

エヴァが完結して解き放たれた感があるから、すごく気楽に庵野秀明の仕事を待てている自分がいる。