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アニメや映画などを観て感じたこと、想ったこと。ネタバレする場合有。

2017年に観た映画

【はじめに】※10選だけ見たいなら読み飛ばしてもいいかと。

 この時期になると毎度なんですが。

極端な話、クリスマスだの正月だの祝日だの休日だの平日だのは別に無きゃ無いでいいと思っていて、全てが「ただの1日」になっても良いんじゃないかと考えるんです。ざっくりここ10年くらいずっと。

一方で、所謂こういったイベントを楽しもうと精を出すのは人間らしい文化的な行為だと思うので、楽しむのは大いに素晴らしいとも思います。

 

そしてこれも毎度言っているとは思いますが、年という括りにおいてキリがいいので映画10選挙げます。

このテーマでブログ(去年まではTwitter)を更新するにあたり、私が考える前提がいくつかありまして。

・ベスト10ではなく10選なのは、あくまで個人的嗜好に基づいたものであり、色がまったく違うものに共通の評価基準を設けた上で優劣をつける事は難しいし、なにより面倒だから。

・対象作品は。私が普段通える距離にある映画館にて、2017年中に公開開始された新作映画。

・ネタバレ覚悟。

・新作50+旧作45=計95作品。新作内訳アニメ16本、洋画34本。

といったところです。

では、始めます。

 

 

 

【10選】

・「xXx: Return of Xander Cage」(「トリプルX:再起動」)

帰ってきてくれた我らがヴィン・ディーゼル。加えてドニー・イェンにルビー・ローズと素晴らしく好みなキャスティングで送られてくるシリーズ3作目。3作目として、1作目は勿論のこと、個人的に好みではなかった2作目すらもすくい上げてくれてテンションがダダ上がりだった。

「X」の概念が、日本で同時期に放送されていた某けものアニメと14作目に突入した変身ヒロインアニメを合わせたようなものになっていて作品世界の拡がり、許容力の高さに時代を感じた。

初代ザンダーの魅力であるアクションスポーツ再興に加え、勿論ドニーのアクションも素晴らしかったし、セレーナとアデルが背中合わせになった時は感謝しかなかった。

 

 

・「La La Land」(「ラ・ラ・ランド」)

人生は選択によって紡がれていき、我々は常に選択をし続けている。

デミアン・チャゼル作品は「Whiplash」に次いで2作目、ミュージカル映画はほぼ未経験でしたが、楽しめるかという疑問は結末で吹き飛ばしてもらった。

まあ、正直途中までは「初めてのミュージカル映画」くらいの感じで単に楽しんでいました。ですが最後の最後で持っていかれました。あれには参りました。

 

 

・「Moonlight」(「ムーンライト」)

キュンキュンな映画、などという言葉を使うのはあまり気乗りしないので、美しい画面の中に描かれる美しい愛の物語。

シャツの色が変わっていくのが受容の証かもだとか、マハーシャラ・アリ素晴らしいとかありますが、シャロンがとにかく可愛いかった。その仕草ひとつひとつにケヴィンへの愛情を感じ、外見が変わっていたとしてもその愛は変わらない。

 

 

・「Arrival」(「メッセージ」)

ジェレミー・レナーがコケる映画、それも間違いではないけど。

言語の可能性を突き詰めていくような作品であり、「ラ・ラ・ランド」とは逆に未来を肯定する話。

単焦点映像で、第二者or第三者視点でありながら自らも夢現としているような演出で、映画の楽しみのひとつである「体験」を実現していた事が印象的だった。

言葉によるコミュニケーションの難しさ、言葉の大切さを意識したいと考える自分にとって非常に強い作品になった。

 

 

・「The Light Between Oceans」(「光をくれた人」)

デレク・シアンフランス監督、原作付きとはいえまた少し違った家族の提示。

邦題も良いですが、原題も素晴らしい。舞台になっている孤島の灯台、ルーシー・グレース、葛藤する登場人物たちといくつもの意味が張られた素晴らしいタイトルだと思った。

決して良いことばかりでないし、途中からはサスペンスを交えつつバッドエンドに向かう様な本作だが。そんな嵐の海で灯台を見つけるがごとく、一筋の救い、赦しをくれる処に私は惹かれた。背負う罪と与える罰が必ずしも一致するとは限らないとも思った。

 

 

・「Baby Driver」(「ベイビー・ドライバー」)

辛い現実の中にいながらも優しさを忘れなかった人間の話。

特筆すべきは音と映像。物語、主人公ベイビーの状況、生活音、音楽が凄まじいペースでリンクを張ってくる。

私としては、稀に見るレベルの映画然とした映画だとも思った。

真似をしたくなるかもだが、公衆の面前では真似をするのは色んな意味で危ない。

 

 

・「Dinkirk」(「ダンケルク」)

最初のカットを視た時点で「あ、これ、ヤバいかも。ノーラン、キレッキレかも。」と思った本作。

ノーランの現時点において最新かつ、ひとつの区切りとなっていく作品かもしれない。

メメント」や「インターステラー」から培われた時間の使い方、ダークナイトシリーズでも見られた犠牲的精神を持つ孤独な英雄と立ち上がる民衆、様々な要素を3幕構成ではめ込み濃縮していく妙技。凄まじい画力が押し寄せてくる。

その上で、「撤退を是」とし、ひとつの命が救われるまでをしっかり描いたところがより私好みでもあった。

 

 

・「Hidden Figures」(「ドリーム」)

暗くなったり、湿っぽくなりそうな人種差別というテーマを知性とエンターテインメントで描く作品。

黒人女性が白いチョークを手に取りその知性によって自らを認めさせていき、音楽や主役3人の言動とあいまって最後まで気持ちよく見れた。

トドメの台詞として「あなたがそう思っている。という事を知っている」は個人的に最高のカタルシスでした。根っから意識している差別主義者もいるのかもだが、差別を受ける側が感じる重みはヴィヴィアンの様な「無自覚な人々」からのものが多いと思うので、あそこでキャサリンが言ったこの台詞は素晴らしいと思いました。

 

 

・「Homo Sapiens」(「人類遺産」)

音楽も台詞も省いた映像を流すだけの単調な作品、そう思っていた時期が私にもありました。

しかしそこには物語があり、演出があり、確かに映画がありました。

まず、オープニング直後にまだ廃墟というには不完全かと思われる福島の映像を流す事により、いきなり観賞前のこの映画に抱く既成概念の様なものを壊され、相当の挑戦心を見せつけられる。

そして、台詞や音楽が無くとも語りかけてくる映像の数々。観客はそれぞれが内に持つ引き出しの中から映像の印象に紐付けし、またその場所の過去や未来を想像していく。

更に、最初と最後を繋げ、あくまで自然を使い登場人物(建造物)をフェイドアウトさせることにより幕引きを図る。

映画作りにおける物語や演出。これらによって引き起こされる観賞における想像や考察を充分に孕んだ作品だと思えます。

 

 

・「IT: chapter one」(「IT/イット ”それ”が見えたら、終わり。」)

「You'll float too.」。この台詞を気付いたら何度も口にしていました。

2016年あたりからホラー映画にも徐々に手を出し始めた初心者な私が(覚えている限り) 初めて劇場で観たホラー作品がこちら。

本当に恐怖に慄きながらの観賞になりましたが。子どもたちの青春物語としてだけでも機能しそうな処に、ホラー要素をトラウマというカタチで掛け合わせる構造を分かりやすくリメイクしてくれたと思います。

(リメイクって言葉でいいんだろうか…。)

後は、ペニーワイズというキャラの魅力。公開後のSNSでの印象が多分に含まれておりますが、様々な技術を駆使する恐怖のプロに私はすっかり持って行かれたわけですが。少なくともこの映画は、恐怖した感情が大きければ大きい程に比例して作品を楽しんだという証にもなると思うので。つまり私はこの上なく楽しんだと言っていいでしょう。

勿論、子どもたちも非常にかわいい。仕草や言動にも拘りが見受けられ素晴らしかったです。

 

 

【候補作】

ここは載せようか迷いましたが、今回はブログを使うということで試験的意味も多少兼ねつつ。★がついている作品が上記10選作品です。

 

☆「劇場版ソードアート・オンライン オーディナル・スケール

★「xXx: Return of Xander Cage」

★「La La Land」

☆「Kong: Skull Island」

☆「Ghost In the Shell

★「Moonlight」

☆「Guardians of the Galaxy vol.2」

☆「Manchester by the Sea」

★「Arrival」

★「The Light Between the Ocean」

☆「Hacksaw Ridge」

☆「John Wick chapter 2」

★「Baby Driver」

★「Dunkirk

★「Hidden Figures」

☆「Blade Runnner 2049」

★「Homo Sapiens」

★「IT chapter one」

☆「Thor: Ragnarok

☆「ガールズ&パンツァー 最終章 第1話」

 

【旧作観賞】

ウルトラマンジードの為にベリアル作品を観たり、ライアン・ゴズリング主演作品をいくつか観たり、プリキュアASDX&NSシリーズを見直したりしていましたが、最も印象深かったのは「Fast and Furious」シリーズでした。

途中には好みではない部分も多々あったかもですが、それらをすべてすくい上げようかと言う程に7作目は素晴らしかったと思います。特にポール・ウォーカーがどれだけ惜しまれているか、そして、素晴らしいファミリーの中にいるかを少しだけ理解できたと思っています。Rest In Peace。

 

 

【最後に】

今年は体感的に洋画が良いと感じていて、上半期6月の時点で「これ、上半期だけで10選いけそう。下半期いれると難度かなり高くなるんじゃ…。」と思っていたが案の定でした。正直、上に挙げた作品たち、特に「マンチェスター〜」はかなり迷いました。 

この記事を書くためにツイログとか振り返っていて気付いたんですが、「ダンケルク」の英語綴りをあちこちで「Dinkirk」と誤記してました。「Dunkirk」だと「Dun」と「kirk」で英語っぽい発音とそれっぽくない発音が混在している様な気がするという自分の勝手な違和感が出てしまった結果だとは思うんですが。何故ここで「i」になったのかは多分ドイツ出身のNBA選手からです。関係者各位、ごめんなさい。

月並みな感想かもですが。「Moonlight」、「Hidden Figures」、「Get Out」等の作品が目立ってきてるのは大統領選と無関係ではないんじゃないかと考えます。まあ、時の政権を支持するか否かは別にして、こういった作品が出て来ること自体は個人的に歓迎します。

邦画アニメについては上記以外にも「傷物語」や「打ち上げ花火」やアニゴジ、待ちに待った神山健治最新作「ひるね姫」などを観てはいたんですが、どうにも嵌る作品に出会えなかったといった印象。十二分に面白いとはいえ現在までの積み重ねの量を考慮すると贔屓目が逆作用して入れづらかった「ガルパン」や「SAO」といった感じでした。

 

まだまだ、攻殻の事とか観賞スタイルの事とか書こうと思えば書けますが。それを言っているとキリが無いので今回はこの辺で。

 

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